昨年末に発表された実施計画でも、「江戸開府400年という機会をとらえ、江戸東京が蓄積してきた歴史や文化を振り返り、新たな都市文化を創造し、魅力と活気あふれる100万人都市千代田を創り出す」と謳われています。千代田区には江戸時代から今日まで脈々と受け継がれてきた文化芸術があります。記念事業を通し、多くの人々が豊かな歴史や伝統を学び、その魅力を再認識する機会を得ることができるものと思います。
昨年12月に文化芸術振興基本法に基づく国の文化芸術の振興に関する基本的な方針が閣議決定されました。その中で、文化芸術の振興の必要性を、人間が人間らしく生きるため、社会基盤の形成、質の高い経済活動の実現、人類の真の発展への貢献、そして世界平和の礎であるとしています。また、地方公共団体の役割として、自主的かつ主体的に多様で特色ある文化芸術活動を推進するための基本的な方針を確立する必要があるとしています。文化とは、広くとらえると、衣食住をはじめ、生活様式、風習、冠婚葬祭など、人間の営みのすべてにかかわることであると思います。人々の暮らしに深くかかわっている文化芸術を振興することは、区民の生活を豊かにし、地域の活性化につながるものと考えます。物とお金の国際収支は、日本は依然として輸出国ですが、この130年余り、文化に関しては輸入超過です。江戸開府400年を機に、日本人のアイデンティティーを江戸の生活や文化芸術の中に探し、千代田区から世界へ発信していくその機会にしていきたいと考えます。歴史的にも現在のロケーションを含めた環境を考えても、千代田区以外その役目を担える自治体はありません。この400年事業を1年限りのお祭りに終わらせてはならないのです。
そこで、区として、この400年の伝統ある文化芸術に対してどのような基本的な方針をお持ちなのか。また、魅力ある地域づくりの観点からも、それを今後どのように生かし、新たな都市文化を創造していくのかについてお伺いをいたします。
次に、まちの現状について区長はどのように認識し、今後どのようなまちづくりを進めようとお考えなのかお尋ねをいたします。
今、千代田区のまちは日本経済が低迷する中にあっても、元気な賑わいのあるまちを目指して懸命な努力をしております。その1つに、もうすぐグランドオープンを迎える神保町一丁目南部地区再開発があります。私は毎日のように工事の進捗状況を見、その変化を実感しております。住居棟の内装の工事をしているのか、夜まで明かりがついています。ほかのビルと違って白熱球の光が暖かく感じられ、3月末にはすべての窓に明かりがつくと思うと、何か元気がわいてきます。再開発で生まれた広場には、先日シンボルツリーが植えられ、これまで不安を抱いていた人も希望へと変わっております。もうすぐ居住者の入居が始まり、新しい事務所に通う会社員で賑わいのあるまちとなり、周辺のまちまちに良い影響をもたらし、地域の活性化やコミュニティの盛り上がりにより、地域活力の増大につながるものと思います。その意味からも、先日開催された入居者説明会では、「ようこそ千代田区へ」ということで、千代田区のまちの魅力や千代田区の特色ある区民サービスなどが千代田区から紹介されたことは、地域と地域を結び、人と人との環を作り、地域の力となってこれからの千代田を一緒に盛り立てていくためのきっかけになったのではないかと評価しているところであります。これら一つひとつの取り組みがこれからの千代田の活性化につながるものと期待をしているところであります。地域の商店街も独自に作成したマップを千代田区を通じて入居者に配付を予定しているそうです。
これら神保町をはじめとして、西神田、飯田橋、秋葉原地区の開発も着々と進行し、新たなまちへと生まれ変わろうとしております。さらに、東京駅を中心とした大手町・丸の内・有楽町地区の開発、建て替え更新は盛んに行われており、昨年9月にオープンした丸ビルには、もう既に1,000万人を超える来場者があったとの報道がありました。千代田区歌の中で歌われてきたオフィスセンターの大手町・丸の内・有楽町地区はこれまで区民とは余り縁がありませんでした。実際、新しい丸ビルには何度か行きましたが、古い丸ビルに行った記憶がありません。同じ思いをしている人も多いと思います。急に丸の内が身近に感じられるようになり、いろいろなアイデアが地域からも出てきております。例えば、丸の内地区の駐車場を土日に利用して車を止めてもらい、シャトルバスを回して駐車場の少ない秋葉原、小川町、神保町の買い物客に利用してもらうアイデアはいかがでしょうか。もちろん、区としてはできないこともあるとは思いますが、大きな開発が地域全体の活性化のチャンスになるよう、区としてできる限りのことをしていくことが区の信頼に結びつき、今後の開発に対する地域の理解にもつながると考えます。
このように、神保町、飯田橋、秋葉原、大・丸・有地区などの大規模開発が持つエネルギーとそもそも千代田を支えてきた大きな力である小規模敷地の連続による下町的な魅力との連携をいかに実現していくかが大きな課題であります。さらに、町会を核として昼間働いている人たちも含めた地域コミュニティの活性化を図り、ほかの地域に負けない機能の再構築に取り組まなければならないとの思いを強くしております。
その意味で、招集挨拶にも述べられた「地域の力」のくだりに私も同感であります。そこで、地域の力とは何か、そして区長はなぜそれが重要なのか改めてお伺いをしておきたいと思います。
また、区長は、招集挨拶で、まちの元気を連携する制度として、一定の地域の開発エネルギーを他の地域に波及・誘導するリンケージ制度の本格的導入を検討しているとのことでありますが、その制度の内容・効果について、いま少し踏み込んで具体的にお示しをお願いしたいと思います。
次に、安全で安心なまちづくりを誰もが等しく千代田区に求めるところですが、今、我々がふだん何げなく食べている食事についても、安全・安心が問いかけられております。そこで、食の安全の問題についてお尋ねをいたします。
一昨年9月、日本で初めてBSEに感染した牛が確認をされ、輸入食肉の安全確保に関する政府の対応の不十分さが指摘されるとともに、食品一般の安全に対する国民の不安が一挙に広がりました。その後、BSE検査開始前に屠畜処理され、政府の買い取り対象となった食肉の偽装表示が明らかになったのを機に、食肉のみならず、農産物、海産物を含む様々な食品についても原産地やブランドの偽装表示が広く行われていた実態が発覚し、食品業界のモラルの低下が指摘されたところです。
昨年も中国から輸入された冷凍野菜から、基準を超える残留農薬が検出された事件をはじめとして、食品衛生法に正規に登録をされていない酸化防止剤や香料を使用した加工食品の流通、輸入ダイエット食品の摂取を原因とする健康被害の発生など、食の安心・安全を侵す事件が次々に発生し、業界や行政の姿勢に大きな疑問が投げかけられております。
一方、昨年、福岡市の保育園や宇都宮市の病院でO157による集団食中毒事件が発生したのをはじめとして、日本各地の大量調理施設で食中毒の散発発生が報告されており、飲食施設における食中毒事故の防止も、食の安全を守る上で大きな課題となっているところです。こうした事態に対処するため、政府は食品衛生行政の抜本的な見直し作業を進めており、与党自由民主党も昨年食品衛生規制に関する検討小委員会、食の安全確保に関する特命委員会、食の安全確保に関するプロジェクトチームを結成し、相次いで改革に向けた報告、提言を行ったところであります。これらの議論をもとに、政府は去る2月7日、消費者保護を基本とした包括的な食品の安全確保を目指した食品安全基本法案を閣議決定し、今国会への提出を予定しております。
一方、東京都においても、食の安全・安心の確保に向け、都民からの情報や国内外の事例など、流通全体の中で得られる情報を評価するための「食品安全情報評価委員会」を都独自に設置し、重点的な検査や監視を行う品目の決定や、都民への情報提供に役立てること、飲食店や食品の製造、加工業者の自主的な衛生管理の取り組みを民間事業者が認証する「食品衛生自主管理認証制度」を新たに導入すること等が計画をされております。
さて、千代田区は、3万9,000人の区民が居住するのみならず、100万人近い昼間人口を抱えており、その食需要に応える約7,000軒の飲食店が営業をしております。飲食店の活気は千代田区の元気のもとであり、おいしくて魅力のあるお店は、在住者のみならず、在勤者、来街者にとっても望むところだと思います。新年会ラッシュも一段落したところですが、立派なホテル、宴会場の多さにも改めて関心をさせられるところです。それだけに、食にまつわる事故については、千代田区としても大きなダメージに至るわけで、その影響も小さくありません。食の安全確保は、極めて重要であります。また、大手食品メーカーの本社や食品の輸入商社も数多く立地しており、食品流通が国際化、広域化した今日、区内のメーカーや商社が取り扱う食品の安全確保は区民のみならず、広く日本国民全体の生活の安全に直結するものといえるのではないでしょうか。
そこで、区長にお伺いをいたします。食の安全に対してどのような基本的なお考えをお持ちなのかお聞かせ下さい。また、千代田区の地域特性を踏まえ、食の安全を確保するために、今後具体的にどのような施策をお考えになっているかお聞かせをいただきたいと思います。
次に、組織についてお伺いをいたします。
今
定例会におきまして千代田区組織条例の一部改正案が提案をされております。その主な内容は、出張所に関して組織的な位置付けを変更するというものであります。出張所につきましては、地域のセンター的なものにしてはどうか、相談員を配置したらどうかなど、これまでも10数年にわたってその位置付け、役割が議論されてきたところであります。また、昨年我が党の一般質問におきましては、これからITの時代を迎える一方、ますます高齢化が進む現状の中で、出張所における地域に根差した心通うサービスの重要性、すなわち心の通う千代田区独自のサービスを提供することが真の区民サービスにつながるとの考えを述べさせていただいたところであります。そして、区長から「まさに出張所こそ、区民の目であり、耳であり、心である」とのご答弁をいただいているところであります。現在の出張所を見る限りでは、限られた体制の中で地域活性化事業をはじめ、生活環境条例への取り組みなど、地域に根差した活動をそれなりに進めておられるところではありますが、いま一歩踏み出せないでいるのは、その位置付けが影響しているのではないかと考えます。この点につきまして、今回の組織改正案におきまして、部の枠を外し、助役と直接つなぐという点で例を見ない提案となっていることは一定の評価ができるものであります。しかしながら、改めて、組織改正によって何が変わるのか、また、新たな出張所の機能として、現在どのようなことをお考えになっているのか、何をめざしているのかをお伺いをいたします。また、窓口事務を拡充するとともに、生活に身近な相談に何でも応じるということになりますと、当然ながら、それなりの体制整備が必要になってくるのではないかと思います。大ぶろしきだけ広げて、開いてみたらやはり対応できなかったということでは、かえって区民に迷惑がかかるということにもなりかねません。体制についてどういう整備をなさる予定なのかお尋ねをいたします。
平成15年度から事業部制がスタートすると聞いております。昨年の我が党の代表質問及び決算特別委員会での質疑においては、事業部制については一定の評価をするものの、事業部の縦割りということに対して少なからず懸念が持たれていたところであります。私は事業部の縦割りを防止する意味でも、ここで出張所の果たす役割はこれからますます大きくなると感じています。出張所は区民に最も近い組織であり、区民の目線に一番近い感覚を持った組織であると思います。出張所を区を代表する地域の組織であるときちんと位置付け、本庁の各事業部及び出張所がともに、組織全体としてこれまでとは違った意識で仕事に取り組み、一丸となって区民福祉の向上に取り組まれるようお願いをいたします。
この項の最後にもう1つ区長に要望をさせていただきます。
区長は、招集挨拶の中で、ふらっと区長室について、その役割を評価して今後も継続をしていく意思を述べられていらっしゃいます。私は今回の出張所の組織改正を通じて、今まで区民がお持ちになっている広範な区政に関する要望を、今度は出張所においても直接かつ密接に聞くシステムになり得ると思います。また、ふらっと区長室を区長は、自身の勉強の場と述べていらっしゃいますが、このことは職員一人ひとりについても同様であり、今後の千代田区の発展を考えると、広く多くの千代田区役所の人材を育成するシステムづくりにも力を尽くしてもらいたいと強く要望をいたします。
最後に庁舎についてお伺いをいたします。
今、現在の庁舎と道路を挟んだ竹平住宅跡地で、全国でおそらく初めてであろう国有地における国の合同庁舎と区役所本庁舎の共同整備事業へ向けた取り組みが進められております。この竹平住宅跡地については、長年にわたり区役所本庁舎の建て替え候補地として俎上に上がってきたと聞いております。この庁舎整備については、区議会として、昨年第4回
定例会で、庁舎・公共施設整備特別委員会を設置して、毎週のように委員会を開催し、精力的に検討を行ってまいりました。委員会としては、この共同事業について、好機を逃すことなく、国との話し合いのテーブルについてほしい旨、執行機関に申し入れたところであります。事業の是非、合築の是非も含めて審議を重ねているにもかかわらず、一部会派から、事実と異なる内容で、特別委員会全体を否定するような偏ったチラシが配布されたことはまことに遺憾であります。現在、特別委員会としても正確な情報を区民に提供すべく、区議会だよりの臨時号発行を提案し、広報広聴特別委員会で作成中であります。区でもリーフレットを作成して、区民の各種会合に参加し、精力的に区民周知を図っているということですが、庁舎建築に関する区民の反応はいかがでしょうか。
また、厳しい日程は承知をしておりますが、国とはいえ、相手がある以上、区側も最大限の努力を尽くし、歩調を合わせて事業に取り組んでいかなければなりません。今後の取り組みのスケジュールを改めてお尋ねをいたします。
国と区が共同で庁舎整備をPFI事業で行うという今回の場合、建物は区分所有になり、土地は国有財産法の規定により借地にならざるを得ないと聞いております。相手側は国なので、特にトラブルになるようなことはないと思いますが、本庁舎が借地ということへの漠然とした不安が区民にはあると思います。将来にわたる権利の保全等をどのように考えているのか、お伺いをいたします。
公共施設の建設や維持管理を民間の資金や技術的能力を活用し、効率的・効果的に行えるPFIだとしても、今回の規模であれば相当の費用が必要になるのではないかと思われます。区長の招集挨拶の中で、庁舎建設によって福祉や教育施設等の整備や各種行政サービスを後退させることはないというご
発言をいただいておりますので、他の必要な事業費が削られ、一般の区民サービスに支障を来すことはないと理解をしておりますが、全体の事業費はどのようにお考えになられているんでしょうか。また、そのための財源確保について具体的にはどのようなお考えをお持ちなのかお尋ねをいたします。
また、自由民主党としては、新庁舎が整備されたとしても、現在の区庁舎の用地については、お堀に面した貴重な土地であり、長年にわたり区民から利用され、親しまれてきたことを踏まえ、売却などはせず、区民の皆さんのために広く有効活用していただきたいと考えておりますが、最後に区長のお考えをお尋ねをいたします。
以上、区政の重要課題について質問させていただきました。区長、理事者の方々の明解な答弁を期待を申し上げまして、自由民主党議員団の代表質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔区長
石川雅己君登壇〕
3:
◯区長(
石川雅己君) 高山議員のご質問にお答えいたします。
まず、江戸開府につきまして申し上げさせていただきます。
一昨年のたしか春ですか、あるいは夏の前ですか、ある会合で私は、今年が江戸開府400年という時期でありますから、区としてもそのことをきちっと受け止め、いろいろな事業をしていきたいということを申し上げ、早速、6月の
定例会で準備経費の補正予算を計上しお願いをして議会の議決をいただいたところでございます。そして、今日の状況を見ますと、私のところの区以外の周辺の隣接している区も含め、大変江戸開府400年に向けていろいろな事業、機運が盛り上がっているんだろうと思います。先般、実は私も江戸東京博物館に行ってまいりました。ご案内のとおり、ドイツから里帰りしました江戸八百八町の絵巻物が展示されていたわけですが、老若男女を含めて多くの方々が江戸東京博物館に来館しておりました。あるいは、まちを歩きますと、人によっては古地図を持ってまちを歩き、そして昔と現代とを比較している、そういう姿もあちこちで見受けられるわけでございます。あるいは、出版業界を見ますと、数えてみませんけれども、おそらく江戸に関する出版物は50は下らないだろうと思います。しかも、あらゆる分野で出版をされていると。ある面では、千代田区の本屋街にとっては大変波及効果はあるんだろうと思います。
このように、江戸開府、あるいは江戸時代を振り返るというのは、今、社会全体がブームのような状況になっているんだろうと思います。仕掛け人の一人として私は大変うれしく思うし、まさに千代田区こそ400年綿々と引き継がれ、受け継がれてきた我々のまちをここできちっと考え、振り返り、そして文化というものをもう一遍学ぶという、そういう意味では、江戸開府400年というのは大変意味があるし、千代田区から発信をしたというのは、単にお金という意味ではなくて意味のあるものだろうと思います。もちろん、それぞれの事業についてはいろいろご意見はあろうかと思いますけれども、これから1年間、それぞれの事業、あるいは区民の提案されているいろいろな事業をしっかりと実施し、そして未来へつなぐようなことを行っていくことが、私たち400年の歴史を受け継いでいる区民、あるいは地域の大きな役割であるというふうに思っております。具体的には、所管部長からご答弁を申し上げます。
次に、「地域の力」に関するご質問でございます。
千代田には江戸期以来の歴史に培われた多様かつ代表的な機能が重層的に集積をしており、その魅力は他の自治体にはない大きな強みであります。
多様性ゆえに様々な人々が集まり、代表性ゆえに誇りを持って、その機能を磨く、そうした歴史の積み重ねの上に千代田があるんだろうと思います。この思いから、千代田の機能を支え、住み、働き、集う多様な人々の活動そのものを「地域の力」と呼んだのであります。
千代田は確かに面積的には小さいわけでありますが、逆に、こうした地域の力が稠密に存することは非常な強みでもあると思います。同質のものが集まるよりも、異なる機能や多様な人々が連携、協働する方がはるかに大きな力を発揮するものだろうと思います。しかも、限られた空間の中で充実した公共交通で結ばれております。今、地域の力の核となる町会など、地域コミュニティの衰退が懸念されておりますが、国際的都市間競争の時代にあって、千代田の最大の強みであるこの地域の力を生かしていくことがまちづくりの戦略の要の1つであると思っております。
基本構想に掲げました目標、100万人を活力とする千代田は、こうしたまちづくりの戦略を端的に示したものでありまして、今、千代田区が進めております、冒頭申し上げました江戸開府400年事業や地域活性化事業、区内11大学との連携協力の推進、NPOとの協働など、すべてがこの戦略のもとに展開しているものであり、リンケージ政策もその一環であります。なお、ご提案の大規模開発によるエネルギーを他地域の活性化に結びつける仕組みにつきましては、開発の果実を情報通信基盤の再整備やシャトルバスの運行などにつなげていく新たな方策なども併せて検討してまいりたいと考えております。
次に、食の安全についてお答えを申し上げます。
私は、首都東京の顔であるこの千代田区における食品の安全管理の水準は、まさに日本という国の食品の安全管理の水準を象徴するものであると常日頃からあちこちの会合で申し上げてまいりました。千代田区には、ホテル、集団給食などの大量調理施設から地域コミュニティ活性化の様々なイベントまで、飲食に関係する業態が集積しておりまして、日本の中心に位置し、日本の食の安全をリードする地域といたしまして、食に起因する事故から区民の安全・安心を守ることは区政の重要な責務の1つであると考えております。
また、単に飲食施設の衛生の維持にとどまらず、区内の大手食品メーカーや輸入業者が扱う加工食品や輸入食品の安全確保は、広く日本全体の食の安全を守る上での見本となるものであり、千代田区の果たす役割は極めて重大であると認識しております。
そのために、保健所を主体に時には厳しく衛生指導を行い、時には突発的な事態に対応した緊急監視を実施するなど、食の安全には最大限の注意を傾注してきているところであります。
もちろん、食の安全を守るには行政による日常的な監視はもとより、営業者による自主的な安全管理の徹底も極めて重要であると考えており、保健所に対しましては、そのための支援策を講じるよう指示しているところであります。
併せて、今回、国におきまして、食品安全基本法を提案する予定になっております。この法案の持っている意味は、初めて食品衛生という概念から、食品の安全という観点でこの法案はできております。今や衛生というよりも、食品については安全という観点からどういうふうに取り組むかという、そういう形で法体系はできておりまして、日頃、私たちが保健所を通じて日々行っている、そうした仕事もまさに安全という観点からやってきているというふうに思っておりまして、今回の法提案は軌を一にするものだというふうに認識しております。
次に、出張所についてお答え申し上げます。
繰り返しになりますが、招集挨拶でも申し上げましたように、私は出張所こそこの千代田区において区民の目となり、耳となり、心となる組織、まさに区政サービス提供の中心的な役割を担っていく組織でなければならないと考えております。地域活性化事業などへの取り組みを通じて、私は地域の住民が主体となった論議や自発的な活動がここ数年非常に活発化し、定着しつつあると感じております。今回の組織改正は、出張所が、地域で芽生え成長してきたこれらの活動を支える拠点となるとともに、地域における区政の先端組織として活動することをめざすものであります。
なお、区政運営を担う職員すべてが同じ思い、すなわち、区民の目、耳、心となった行政サービスが提供できるよう、職員にも十分にそうした意識を持つように、これからも力を入れてまいりたいと思っております。
次に、庁舎についてお答えいたします。
昨年の自民党の代表質問でも申し上げましたし、あるいは昨年の4定でも申し上げているとおりでございますが、現在の区庁舎は老朽化が進んでいる上、段差が多くバリアフリー的対応も十分ではありません。耐震診断の結果も災害時に救助活動や復興活動の拠点となる庁舎としては基準を満たしておらず、加えて、総合窓口やシティーホールとしての機能を設ける余裕もありません。さらに、事務機能の一部を隣の千代田会館に分散させているため、賃借料として毎年約9,500万円余りの財政負担が強いられているのはご案内のとおりであります。
このような状況の中で、庁舎を単に職員の執務スペースというだけではなくて、区民の皆さんの交流の場としてご利用いただけるよう改善していくためにも、いずれ近いうちに庁舎を建て替える必要があると考えておりましたが、実施時期につきましては、福祉や教育の施設を充実させ、最後に行うものと考え、あえて計画化してまいりませんでした。
なお、建て替えに当たりましては、現地建て替えは工事期間中の仮庁舎の確保に数十億円規模の多額の経費を必要とするほか、現在地の周辺にまとまった仮庁舎を確保することは非常に難しく、仮庁舎が分散することにより、区民の皆様にご迷惑やご不便をおかけすることにもなります。
一方、移転建て替えは、近くに適地があれば、そこに新庁舎を建設した後、移転することで、仮庁舎の問題がなくなり、経費的にも区民サービスの面からもメリットが大きいと考えます。
このような点を考慮いたしますと、旧竹平住宅跡地は移転建て替えを行う場合のまさに適地であり、以前から区民利用施設や庁舎整備に活用できないか、ご案内のとおり、議会でもご議論があったところであります。
しかし、平成13年8月、都市再生プロジェクトとして旧竹平住宅跡地における国の合同庁舎整備が発表されました。このことにより、区の施設整備は大変難しい状況になったと認識しておりましたが、せめて区の中心部に位置することで、区民の利便性が向上する施設や現実的には立地が難しい福祉施設など、限定した施設だけでも確保する余地がないものかと考えながら、国への働きかけを続けてきたところであります。
そうしたところ、昨年11月、区、財務省及び国土交通省のいわゆる三者協議の席上で、国から区との共同事業についての条件提示があり、区は現庁舎を超える床面積を取得できることがわかりました。そこで、この際、庁舎の課題解決も含め、区民利用施設と庁舎併せての整備に向けて検討をしていくこととして、区議会にも施設を含めた審議をお願いしたところであります。
区といたしましては、庁舎建設によって福祉や教育施設等の整備や各種の行政サービスをいささかも後退させることはありません。ただ、現在の庁舎が抱えている様々な課題や周辺の状況を考えた場合、この好機を逃すと庁舎の建て替えは事実上困難になるおそれがあると考えております。
なお、財源確保については、再三申し上げておりますように、庁舎建設については、一般財源を投入することや起債を起こすことは考えておりません。区が所有する、現在低未利用な土地や将来生ずる遊休地などを地域のまちづくりに寄与できるような事業者に貸し付けたり、場合によっては、処分も含めた有効活用により財源を生み出してまいりたいと考えております。
また、現在の区庁舎の用地につきましては、現時点では具体的な検討はしておりませんが、今後、特別委員会での審議を重く受け止め、いろいろな観点から考えてまいりたいと思います。
なお、詳細及び他の事項については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。
〔政策担当部長
山崎芳明君登壇〕
4:
◯政策担当部長(
山崎芳明君) 高山議員のご質問のうち、出張所及び庁舎について区長答弁を補足してお答え申し上げます。
まず、出張所の新たな機能といたしましては、主に次の3点を考えております。
1つは相談機能の強化であります。生活に身近な相談や行政サービスの各種手続などについてお困りのことがありましたら、いつでも気軽に安心感を持って相談においでいただけるよう、相談員を配置いたします。そして、この相談員が中心となって、本庁各事業部などと連携し、区民の立場に立って解決のお手伝いをしてまいります。
次に、窓口取り扱い事務等の拡大でございます。出張所において受け付けをする届け出、申請の種類を現在の2倍程度にするほか、麹町及び和泉橋の2出張所を新たに不在者投票所に指定し、投票しやすい環境を整えます。また、地域を主体とした様々な活動を支援するため、区民館に加えて昌平童夢館、神田さくら館などのコミュニティスクール施設の利用申し込みも全出張所において可能にしてまいります。
3点目は情報の受発信機能の強化でございます。出張所の職員が地域に入って生の声を収集し、各事業部の施策に活かす、つなぎ役をするほか、区政にかかわる様々な情報について的確に地域へお伝えしてまいります。
これらの機能拡充に併せまして、経験豊富な相談員を各出張所に配置するほか、情報の受発信機能として地域情報主査を位置付け体制整備を図ります。さらに、区民生活部に限らず、幅広い視点から行政サービスを提供するため、どの事業部にも属さない助役直結の組織としてまいります。
次に、庁舎に関してお答えいたします。
まず、庁舎建設に関する区民の皆様への周知についてでございますが、各地域のふらっと区長室で説明させていただいた後、リーフレットを作成し、町会、婦人団体協議会、青少年問題協議会、清掃協力会、更生保護婦人会など、区民並びに各種団体の会合に参加し、庁舎建設の必要性や検討状況について正確な情報の提供に努めているところでございます。
区民の皆様の反応といたしましては、借地や財源確保についてのご質問のほか、「ぜひやってほしい」「タイミングを逃すとできなくなる」「しっかりしたものをつくってほしい」「千代田市として新しい自治を発信していくためにも必要だ」など、賛成のご意見を多く頂戴しているところでございます。
次に、今後の取り組みスケジュールについてでございますが、今回の事業は国のスケジュールを基本に進めていく必要があることから、現在、庁舎・公共施設整備特別委員会における、好機を逃すことなく、国との共同事業について話し合いのテーブルに着くべきであるとのご論議を踏まえ、国と事業実施の方針や新しい庁舎に設ける機能などについて協議を行っているところでございます。
今後、区議会において、事業化についての一定の方向を出していただいたならば、年度内を目途に事業概要をまとめ、さらに来年度の早い段階で客観的評価を加え、事業実施の判断をしていくことになります。
次に、借地についてでございますが、具体的な借地条件は今後国と協議をしていくことになりますが、現時点で国からは、借地期間30年の普通借地権であり、一定の権利金を支払うものの、30年経過した後の更新は可能で、その際、更新料は不要との説明を受けてございます。したがいまして、建物は、区分所有により当初から区の所有でございますが、土地につきましても、借地とはいえ、所有権の一部を取得したものと同様と考えられ、将来に向けての権利は十分保全されているものと認識してございます。
次に、全体の事業費は、借地にかかわる経費のほか、PFI事業では設計、工事及び事業期間中の維持管理等の経費をすべて含めたものが事業費となります。これらの総額につきましては現時点では明らかになってございませんが、単に建設にかかわる経費のみを想定した場合、一般の建物より耐震性能が優れた建物であることなどを考慮いたしますと、約90億円から100億円程度と考えてございます。
〔区民生活部長
川崎侑孝君登壇〕
5:
◯区民生活部長(
川崎侑孝君) 高山議員のご質問のうち、江戸開府400年記念事業に関連して、「文化・芸術に関する基本方針と新たな都市文化の創造について」お答えいたします。
江戸開府400年記念事業を千代田区自らが実施していくことを打ち出したのは、ただいま区長がご答弁申し上げましたように、庶民が創り支えてきた文化を振り返り、これまでの積み重ねを保存するとともに、次代に引き継ぐ新たな文化を創造し、発信していくための起爆剤とするためのものでございます。江戸開府400年記念事業を、その年限りの祭り事にしないで、将来への地域おこし、文化・芸術の継承発展につなげていくためには、千代田区に住み、働き、学び、集う人たちの参加と主体的な取り組みが大切です。その仕組みの1つとして、記念事業の中に実行委員会支援事業という区分を設け、区民や企業が自主的に実施する事業の募集を行ったところでもあり、こうした自主的な活動を積極的に支援し、未来へつなげていくことがまさに重要であると考えております。
ご質問にあります区としての文化・芸術に対する基本的な考えは、昭和59年の「教育と文化のまち千代田区宣言」にあるように、区民の生活そのものであります。文化・芸術は、人々の暮らしに潤いと豊かさをもたらす衣食住に次ぐ第4の生活必需品であるとも言えます。閉塞感が蔓延している今日こそ、文化・芸術の振興が地域を活気づける大きな力になるものと考えます。
江戸開府400年記念事業の集大成として、千代田区独自の特色ある文化を構築するため、平成15年度には文化・芸術に関する懇談会を設置し、区民の皆様にわかりやすい形で、区の文化・芸術に対する基本的な方向性と方針をお示ししてまいりたいと思っております。
〔地域保健担当部長
石田東生君登壇〕
6:
◯地域保健担当部長(
石田東生君) 高山議員の食の安全についてのご質問に区長答弁を補足してお答えします。
食の安全を確保する上で、千代田区の当面の課題は、大規模食中毒の予防と区内業者の輸入する食品の安全確保であります。大規模食中毒の予防については、大量調理施設に対し、営業者自らがHACCPと呼ばれる新しい管理手法の考えによる自主的な衛生管理の仕組みをつくり業務に当たるよう保健所として支援事業を行います。
輸入食品の安全確保に向けては、輸入業者に対する講習会の実施等により、海外の製造現場での管理体制の強化や営業者自身による自主検査の徹底等を強く指導し、違反の未然防止に力を入れてまいります。また、来年度は保健所のホームページを立ち上げ、区民の皆様に食の安全に関する迅速できめ細かな情報提供を行います。さらに、食品衛生法の改正を踏まえ、危害の発生を防止するため、法に違反し行政処分を受けた者の指名等の迅速な公表にも努めてまいりますので、ご了承をお願いします。
〔まちづくり推進部長
渡辺滋君登壇〕
7:
◯まちづくり推進部長(
渡辺滋君) 高山議員のご質問のうち、リンケージ制度についてお答えします。
既にご案内のとおり、住宅付置制度及び開発協力金制度は、定住人口の回復を目的として平成4年9月に創設され、これまでに一定の成果があったものと考えております。今日、制度創設当時とは社会情勢が大きく変化してきており、業務機能の住居地域への浸食圧力は緩和され、マンション等の集合住宅の建設も盛んになってきております。しかし、その建設には地域間格差が発生しており、神田地区では依然としてファミリータイプの住宅建設は非常に限定的であります。こうした状況に対応するため、現行の住宅付置制度を拡充して、特定地区で行われる開発を対象としたリンケージ制度を本格的に導入するものであります。そのねらいとしては、従来の付置制度では、隔地、いわゆる飛ばしの住宅建設がなかなか進まない神田地区において、住宅建設を政策的に誘導しようとすることにあります。しかし、神田地区は敷地面積が小さいことから、単一の事業のみで付置住宅を建設することは困難を伴います。そのため、5年間程度で複数の事業によりトータルで住宅を供給する仕組みとします。その際、供給努力を担保するために、従来の開発協力金に相当する保証金をお預かりし、住宅供給が達成されたときには、それを事業者に還付いたします。さらに、敷地面積の小さな神田において、ファミリー型住宅を建設していくためには、建設期間の延長だけではなく、敷地の共同化やコーポラティブなどの取り組みも併せて行っていくことが効果的であります。そうしたことから、保証金とは別に、仮称ですが、付置住宅誘導協力金の確保も検討します。この協力金をもとに、街づくり推進公社において、神田地区内の敷地ストックとなる住宅付置候補地の調査把握を進めるとともに、事業者と敷地提供者を調整の上、コーポラティブや共同化を推進するコーディネーターへの支援等も行ってまいります。こうした明確な政策誘導型の開発住宅リンケージは我が国で初めての制度となります。
〔教育長
若林尚夫君登壇〕
8:
◯教育長(
若林尚夫君) 高山議員のご質問にお答えいたします。
最初に、教育基本法の見直しについてお答えいたします。現行法の見直しにつきましては、新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画のあり方として、昨年11月に中央教育審議会の中間報告としてまとめられたところでございます。その後、公聴会を設け、意見聴取が行われ、現在、第2期中央教育審議会で引き続き検討中であります。
教育基本法のあり方につきましては、国や社会の発展の基礎をつくる大変重要な議題であると認識しております。いじめ、不登校の増大など学校教育上の課題、青少年の犯罪や社会人のモラルの低下など、社会規範上の諸課題への対応、さらには今後の一層のグローバル化の進展や国際競争時代の到来など、社会の変化や現状と課題を見据えた教育改革が必要となっております。しかしながら、教育基本法の見直し、改正につきましては、21世紀を切り開く心豊かな日本人の育成に向け、広範な国民的議論や中央教育審議会での十分な審議が必要であると考えており、その動向を
注視してまいりたいと考えます。
次に、千代田区の教育理念や具体的な目標、施策についてであります。
地域で生まれ、育まれた子どもたちを責任を持って区立学校や幼稚園、こども園でお預かりをし、手をかけ目をかけて育てていくことが重要であります。そのため、高度できめ細かい指導のもとで規範意識と基礎学力を身につけさせ、千代田区に誇りと愛着を持ち、将来を担う人材として育成していくことが千代田区の教育の基本的な考え方であります。
具体的な目標につきましては、議員ご指摘のとおり、本区の教育目標で育成する人間像を示してございます。心身ともに健康で人間性豊かな子どもの育成をめざし、教育を進めているところでございます。
学校教育におきましては、これまでの千代田区の教育実績を積み上げ、未来につなげていくためにも、基礎学力向上プランを定め、基礎学力の定着を図ることを第一に掲げて推進しております。また、地域の協力のもと、地域社会と密着した特色ある教育活動を積極的に取り入れるなど、子どもたちが学校に通うことを楽しみにし、保護者、地域の方々が誇りを持ち、自慢できる学校づくりを進めることといたしております。そのため、来年度は学校活性化支援事業を新規事業として立ち上げてまいります。さらには、開かれた学校づくりをめざし、積極的に地域の方々を指導者として授業にお招きをし、校園長の円滑な学校運営を推進するために、外部の意見を反映させることとしております。これらの施策につきまして、総合的な観点から、外部の評価委員によります学校評価を全校(園)で実施する中で、地域とのパートナーシップを強固なものとしながら、地域に根差した学校づくりを進めてまいります。
今後とも教育の目標の実現に向け、具体的な施策を保護者、地域の皆様方にわかりやすいものとし、千代田区の特色ある教育の推進に努めてまいります。
9:
◯議長(満
処昭一議員) 議事の都合により暫時休憩します。
午後2時09分 休憩
午後2時29分 開議
10:
◯議長(満
処昭一議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問を続けます。
日本共産党区議団を代表して、25番
鈴木栄一議員。
〔
鈴木栄一議員登壇〕
11: ◯25番(
鈴木栄一議員) 2003年第1回区議会
定例会に当たり、日本共産党区議団を代表して質問を行います。
最初に、石川区長の政治姿勢についてお尋ねをいたします。
第1の質問は、小泉内閣ができて2年、構造改革によって、国民の暮らしと日本経済は一体今どうなっているかということであります。石川区長は招集あいさつで、「昨今の日本を取り巻く社会経済環境はデフレ危機、脆弱な株式市場、不良債権の増大、企業への不信感など、就任当時と比べさらに悪化し、混迷を深めています」と述べられました。この2年間、日本経済の指標でよくなったものは一つもありません。失業者は359万人、戦後最悪であります。中小企業の倒産は、去年1年間で1万9,458件で、バブル崩壊後最悪であります。実体経済の反映である株価も下がりっ放しであります。不良債権も景気が悪くなるために、減るどころか、逆に1年で9兆6,000億円も増えたそうであります。サラリーマン世帯の実収入は、一昨年に比べ27万2,000円も減っています。すべて政府が出している数字であります。今や小泉内閣の経済政策の破綻は、誰の目から見ても明らかに破綻をしております。こういうときこそ、国民の苦しみと困難を取り除くのが政治の一番の務めであり、政党の何よりも責任のはずでありますが、小泉首相はその責任をとるどころか、追い打ちをかけるように、医療制度の改悪、介護保険料の引き上げ、年金給付額の引き下げ、雇用保険の改悪など、社会保障の全分野に及ぶ改悪で2兆7,000億円負担増を押しつけてきています。また、発泡酒やたばこの増税や配偶者特別控除の廃止、消費税の特例廃止など、庶民増税が1兆7,000億円。合わせて4兆4,000億円もの負担を国民にかぶせようとしています。
医療費負担増については、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会の医療4団体は、国民の健康に対する国の責任を放棄し、国民皆保険制度を根底から崩壊させるものとの共同声明を発表し、史上初めて街頭で医療費負担増に反対するチラシをまき、街頭での行動を行いました。庶民と中小企業への増税、赤字があっても課税される外形標準課税をはじめ、様々計画していることに対しても、日本商工会議所など、日本の中小企業を代表する4つの経済団体が大会を開き、増税反対の決議を国に提出をしています。
そこで、3点区長にお尋ねします。
小泉内閣の社会保障と庶民増税の国民への負担増を区長はどのようにとらえているかということであります。
2つ目は、4つの医療団体、経済団体が小泉内閣に真っ向から反対を掲げ運動を展開していることに対して、区長はどのように見ているかということであります。
3つ目は、今日の不況を深刻化させたのは、小泉政権の失政にあるということはもう明らかなわけですが、区長自身、この認識をお持ちであるかどうかということを明らかにしていただきたいと思います。答弁を求めます。
次に、イラク問題について区長の見解を求めておきたいと思います。
イラクをめぐる情勢は大変重大な局面に来ています。国連イラク査察団が安保理で追加報告を行いました。イラクの協力にさらに改善が必要としつつも、査察は完了していないとして、査察を継続強化する方針を示しました。アメリカとイギリスは、武力行使の決断のときと主張し、フランス、ロシア、中国など12カ国は査察継続を主張しました。イラク問題が平和的解決か戦争か、この重大な局面を迎えていますが、無数の人々を犠牲にし、世界を破壊的危機に陥れる戦争は何としても回避しなければなりません。今、世界中でアメリカのイラク攻撃は許さないという声が大きな流れになっています。
2月15日、アメリカ、イギリスによるイラク戦争の企てに反対する行動が世界中の600以上の都市で行われ、1,000万人以上の人々が参加したという報道がありました。この行動は、オーストラリア、ニュージーランド、日本を起点にアジア、大洋州から始まり、中東、アフリカを経て欧州に引き継がれ、各地で史上空前の規模の集会になったそうであります。アメリカでも、ニューヨークの50万人など、200カ所以上にこの集会が広がりました。ロンドンで何と200万人、マドリードで200万人、バルセロナで150万人、ローマで300万人など、いずれも過去の記録を塗りかえる行動になったことも写真入りで報道されていました。ヨーロッパ30カ国の世論調査や日本の各種世論調査を見ても、75%から80%がアメリカの武力行使ノーということが明らかにされています。
こうした状況になっても、日本の小泉内閣は、圧倒的な査察継続の声に逆らって、アメリカの戦争の引き金となる新決議案のために裏工作までやるという恥ずべき姿勢をとっています。昨日の国会では、もう答弁で堂々と言い始めました。今、査察による平和解決か戦争による悲惨な事態を選ぶのか、国際平和都市宣言の千代田区の区長としてこうした事態をどう見ておるのか、区民に対して明解な見解を述べる必要があると思います。区長の明解な答弁を求めておきます。
第2の質問は、石川区長も区長就任2年が経ちました。区長は、招集挨拶で、自らの区政2年間を振り返って取り組みの成果について述べられました。区政の評価については、小泉政治の不況下で、千代田区民も大変な負担増、庶民増税を押しつけられてきています。この区民の苦しみと困難をどれだけ区政が暮らしと福祉を守る自治体としての役割を果たしてきたかについて、私は区民の目線からこの2年間が検証されなければならないと思います。そこで、特徴的な問題について区長の見解を求めておきたいと思います。
第1は、「コスト」と「効率性」の名で使用料・手数料の値上げをはじめ、住民負担が増大し、学童クラブなど無料施策の有料化がされ、民間でできるものは民間でということで、営利企業化を一気に進めた2年間ではなかったのではないでしょうか。区長は、千代田区独自の取り組みだとしていますが、多くの自治体が国の制度が不十分なため、自治体独自で行ってきた制度、全国的には老人医療費助成、各種の福祉手当、福祉施設や団体への補助金カット、シルバーパス制度など、どんどん切り捨てられています。高齢者への紙おむつの枚数を減らす、そこまでやられてきています。これは自治体が国の基準以上の仕事をしないということで、自治体の存在意義を自ら否定するものだと言われていますが、千代田区政もこの流れと、うり二つに見えます。また、多くの自治体で、民間でできるものは民間でというかけ声で、学校給食の民間委託、公立保育園の民営化などが強行されています。コストは受益者負担などといって、国保料、保育料、上下水道料金などが相次いで値上げされています。福祉や教育などの分野でも、住民にとってどうしても必要な公共的な仕事は民間任せにせず、自らの自治体の責任で取り組んでこそ自治体といえるので、それを投げ捨ててしまっては自治体が自治体でなくなるという声も広がり、結局は、営利企業化というふうにならざるを得ないということであります。こうした全国的な流れを見ると、やはりこの2年間、千代田区政、非常によく似ているのではないかというふうに思います。こうした全国的流れに対しての批判の声は、「大体、一方でコストも効率性も無視した公共事業を進めながら、福祉と暮らしにだけ効率性の名で切り捨てを押しつける。一方、デフレ不況で物価が下がっているときに、公共料金だけを引き上げるのは全く説明がつかないでたらめなやり方ではないか」という厳しい批判もあります。区長は、千代田区の自主性・自律性を常に強調されていますが、こうした多くの自治体の流れと同じように私は思えるのですが、区長の見解を求めておきたいと思います。
その一方で、今全国で、暮らし、福祉を守る自治体本来の姿を取り戻そうという新しい流れも大きく広がっております。私は、住民の立場に立つ自治体が本流だと確信をしています。区長は、「区政はサービス業である」と言ってこられました。民間企業と同じ運営手法で、どんどん区政に導入しようとされてきました。区政はサービス会社ではありません。サービス業だけやっていればよいということでも私はないと思います。今日のような深刻な不況下で、区民生活がかつてない厳しい状況にあり、区民が苦しみ、困難を抱えているとき、それを除くための政治が必要なのであります。そして、また政治の責任であり、自治体の仕事であります。区民生活の実態を直視し、よく分析をし、住民の福祉、暮らしを守るために自治体が存在しているんだと。ここが今すべての自治体に真剣に問われるときだと思います。自治体の存在意義とは何か。私は改めて区長の見解を求めておきたいと思います。
次に、新年度予算案について質問をいたします。
新年度予算の性格について4点挙げられています。冒頭に挙げられているのが江戸開府400年事業となっていますが、今のこうした状況、区民生活の実態からすると、住民感覚から少しずれてきているという感じがあります。区の予算は、今年1年の区政の方向は、記念事業が目玉施策となると、区民の暮らし、福祉、営業に対してどう考えているのか。区民の利益に応える予算になっているのか。国の悪政に対して、区は防波堤の役割を果たしているのか。区の政治姿勢がこの予算案の中で問われるし、明らかにしなければならないと思います。区民の切実な要求を組み入れた住民本位の予算の性格、これを打ち出さなければなりません。打ち出していないとすればなぜでしょうか。
江戸400年事業をすべて否定するものではありませんが、今までの地域活性化事業についての6,500万円、さらに、今年度18事業で7億2,000万円の予算は、区民の中には様々な批判も率直にあります。それだけの財源が使えるならば、もっと他に予算が回せないのかという意見も聞きます。予算の性格づけの第1位に挙げ、この400年の、それもお祭り騒ぎ的に示されるのではなくて、またこの事業も改めて簡素で質素なものにしていく必要があるというふうに思います。改めてこの江戸400年事業に対して区長の答弁を求めておきたいと思います。
第2に、予算の性格の3番目に、行財政構造改革の成果を区民の皆さんに還元する予算だと、こういう性格づけをされています。今回の予算で、行財政効率化効果は16億円むだを省いて財源を生み出したというふうになるのでしょうか。中身を見ました。財政効率化で16億円の中身は、職員の削減、敬老金の廃止、保養施設等の運営経費のカット、内幸町ホールの補助金カット、給食調理の委託化、七生自然学園の廃止、富士見福祉会館、福祉作業所等の利用者負担増、経常的経費のマイナスシーリングで生み出した合わせて16億円という内容であります。これでは、区民に痛みを押しつけて生み出した財源を区民の皆さんに還元する予算というふうに性格づけられるのでしょうか。これまた理解に苦しむものであります。そして、予算の特徴は、区債は発行せず、財政調整基金も取り崩さない堅実予算、これが今度の予算の特徴だと胸を張って言われています。区民感情からすれば、首をかしげます。今年度の最終補正予算もまた積立金であります。内部努力と区民への痛みを押しつけ、財源確保に力を入れているというふうに言われても、反論できない予算になっていないでしょうか。改めて、今の区民生活の実態、区民の皆さんや中小企業の皆さんの置かれている状況から見て、今年のこの新年度の予算の性格・特徴は、政策経営部の資料で議会に示されたとおりの状況でよいのかどうなのか。改めて答弁を求めておきたいと思います。
次に、総合的な福祉向上をめざす実質増予算だと特徴づけておられます。その主な予算は、岩本町2丁目複合施設の建設と神田淡路町施設建設を挙げています。新年度予算での特徴とは言えない今年度完成の2施設だけが主な事業と特徴づけています。これでは、総合的な福祉向上を目指す実質増予算の説明になるのでしょうか。もちろん、メニューは46ポイント挙げていますが、メニューをそろえるだけの感じがして、暖かさを感じないのは私だけでしょうか。そうした予算の内容についても、この特徴づけをもう少し区民にわかりやすく説明して下さい。不況と負担増に苦しむ区民の暮らしと福祉を守る施策のポイントはどこにあるのか、区長はどのように考えているのか、明らかにしてほしいと思います。
また、私どもが今までも区民の要望として示した、今こうした情勢の中では、総合的な福祉の向上を目指すには、介護保険料・利用料の軽減や国保料金の値上げをやめることや、老人福祉手当の継続や小学生までの医療費の無料化、中小企業への区の直接融資や区の保証制度などの創設の問題、これらを我が党としては要求をしてきました。今こそこうした内容を実施すべきときではないかと思っています。そうしてこそ、総合的福祉向上を目指す実質増予算になるのではないでしょうか。区長の答弁を求めます。
まちづくりについて1点だけ質問をしておきます。
リンケージ制度を本格的に導入するということですが、特定の地域の開発における住宅付置制度の特例措置として、付置住宅のいわゆる飛ばしでありますが、特定の地域の開発は具体的には大手・丸の内・有楽町の開発になると思います。いわゆる大企業のビルの開発で付置住宅部分をワンルームマンションの多い地域と言える神田地域になると思います。そこにファミリー住宅の建設を積極的に誘導するということですが、ファミリー住宅といっても、神保町の再開発でつくられた住宅は1億円、2億円。一番高いところが2億8,000万円という分譲住宅であります。千代田区に住み慣れた区民からすれば、この制度で神田のまちが、住む人たちが変わってしまうのではないかと不安になっています。若年ファミリー層が住める、お年寄りが住める、生活必需品が手近で買える。人の心が通い合えるまち、これが江戸時代から続いた神田のまちの伝統であり、区民が描く理想であります。今、大事なのは、庶民のまちづくりが必要なんです。リンケージ制度を導入するならば、住宅付置義務も、億ションになっては、結果的に住み慣れた人たちは、また区外に追いやられるのではないでしょうか。リンケージ制度を導入するならば、庶民のまちをつくっていく、ここにしっかり腰を据えて、良質で低家賃住宅を誘導することが条件になる必要があると考えます。神田の地域をターゲットにしたこのリンケージ制度を私は改めてどのような発想で、今回の提案は本格的に導入と言われていますから、神田のまちをどのように考えているのか、区長のお考えを併せて答弁していただきたいと思います。
最後に、区庁舎建設問題について質問をいたします。
昨年の第4回定例区議会で、区長から、旧竹平住宅跡地に国の合同庁舎との合築で区の新庁舎を建設したい。区議会として早急に具体的な検討をということで提案がありました。区の長期計画にも、推進プログラムにも新庁舎建設計画はありませんでしたから、正式には区民から見れば突然の区長提案となります。昨年の第4回定例区議会のときでしたから、
定例会の日程は既に決まっており、審議日程は当然議会としては組まれておりませんでした。自民党の幹事長から急遽、庁舎建設の特別委員会を設置したいという話が私どもにもありました。その設置も会期最終日だということでありました。私は、区の庁舎建設問題は、区民の共有財産にかかわる大きな問題だから、区民に十分な情報提供をしてから区議会として慎重に議論すべきだと。特別委員会を設置すれば、国との合同庁舎の合築の新庁舎建設まずありきになるのではないか。各会派でもそのときは賛否が分かれるような状況がありましたが、会期末に特別委員会だけ設置して閉会すると、こういう事態になりました。私どもは拙速だということで、この設置に反対をいたしました。議長と自民党幹事長にも事前に申し入れしました。しかし、結果は、日本共産党区議団を除いた会派全員の提案で特別委員会が設置されました。特別委員会の委員の構成は、最初は全会派で構成するという議長の話でありました。私は意見が違っても特別委員会の委員に指名されれば、当然議論に加わるのは議員の固有の責任であるという立場でしたが、委員会に反対した議員がいるのは問題だという意見が強いので、議長は共産党議員は指名できないという事前の話がありました。私はそのとき抗議をいたしましたが、結局は議長判断で、共産党の議員は指名されませんでした。こうした議会の経過がありましたので、私どもは当然区民の皆さんに知らせる、区庁舎問題についていろいろ疑問、質問も私どもに出されてきましたので、千代田区民新聞を通じて、幅広く区民の皆さんの声を聞かせてもらおうと。情報提供という形でビラをまき、呼びかけを行いました。予想以上に反響がありました。
先ほどの自民党の代表質問で、このビラに対して事実でないことがある。どこが事実でないのか明らかにしないで、事実がない事実がないということだけ言われました。私どものこのビラは、多くの区民の人たちから今もいろいろ意見が寄せられておりますが、2月になって、区としても区庁舎建て替え計画についてのQ&Aというリーフが作成され、今
定例会の区長の招集あいさつでも述べられておりましたが、区としては今までふらっと区長室では説明をしたと。しかし、これからも区民への周知を図っていくということでありました。区議会も特別委員会の内容を区民に知らせるということで、号外を発行することになりました。私は、区も議会もこの問題について正確な情報を提供されることは、何はともあれ区民全体で議論する上で一歩前進だというふうに思っています。ただ、議論を進める上で大事なことは、今日までの区が取り組んできた経過を含めて、事実を具体的に正確に情報提供を区民にしなければなりません。同時に、区のリーフレットも区議会の号外もQ&A方式ですから、区民の疑問や意見や批判には明確に回答する責任があると思います。そうした立場から、私は、区民から寄せられた意見を含めて4点にわたって、以下区長に質問をさせていただきます。
第1の質問は、区長は区長就任以来、水面下で区と交渉をしていたと。先ほどの答弁でも積極的に行ってきたと言われました。この2年間、10カ年計画の改定もありましたし、新たに石川区長になってから、実施3カ年計画は5カ年計画になり、推進プログラムとして作成をしました。なぜ庁舎新築問題がこの計画に上げられなかったのか。これはかなり多くの区民から疑問があります。計画にのせていればいろいろ意見も出せるし、また、昭和50年以来こういう公共施設、とりわけ庁舎建設などの大事業は、長期計画や実施計画にのせてやるというルールができ、基本計画がつくられるという。そして、それが区民に情報提供、区の姿勢を示して、そして計画的な行政を行おうというふうに地方自治法でもなったわけでありますから、まして区庁舎建設というのは、単なる公共施設建設とは同列に置けないものであります。まさに“本丸築城”というものであります。そして、最大の区民共有財産を生み出すという大事業であります。区民の十分な理解が求められ、多額な財源が必要な事業だけに計画的に建設すべきではなかったのでしょうか。なぜ、こんなに急がなければならなかったのかというのも、区民の率直な声であります。
また、区議会に対しては、国との関係で、昨年の秋からは1月中にその是非の結論を出してほしいと。そのために議会側もかなり急がされ、焦らされ、そういう戸惑いの状況も含めて、第4回
定例会のときにあったと思います。しかし、既に2月下旬であります。今
定例会でも区長は、早期に事業化についての一定の方向を出していただきたいと述べられておりますが、その一方で、区民への周知は今後も様々な手法を行い、より一層周知を図っていきますと、こう述べています。区長、手順が逆ではないでしょうか。今決めないと好機を逃すと言われますが、区庁舎建設は無計画に焦って建設するものなのでしょうか。
第4回定例区議会で、区長自身が招集挨拶の中で、「庁舎建設は区として遠く将来を見据えた大事業であり、区議会はもとより、区民の理解と協力がなければ実現するものではありません」と言われました。好機を逃すと庁舎建設はできなくなると、同時に述べるわけであります。これでは区民をおどかしているような
発言になりやしませんか。
私は、国との関係で、区長と何か約束でもあるのかと最初思いました。区長が急ぐ理由がいまだに十分理解できませんので、この辺の経過を含めて答弁を求めておきたいと思います。
第2の質問は、この国との交渉について、先ほども自民党の代表質問の答弁に区長が述べられておりましたが、助役からの報告でいきますと、10月30日、区と財務省、国土交通省との交渉の中で、旧竹平住宅跡地に国土交通省がPFI方式によって合同庁舎を建設する計画があり、千代田区に対して、区役所庁舎との合築の打診があったと区議会に報告されました。ですから、特別委員会の設置理由の中に、理事者の説明によるとということで、今言いました部分が載っております。今回の庁舎建設は、国から合築でいこうと、そういう呼びかけがあったという理解でよいのかどうなのか。正確に経過を含めてこの本会議場で報告をしておいていただきたいと思います。答弁を求めておきます。また、現時点での国との交渉はどこまで進んでいるのか。三者協議の内容も併せて明らかにしておいてほしいと思います。
第3の質問は、この庁舎建設は借地権を国から、それも民間ベースで取得し、借地料を支払うということですが、これも多くの区民から私どもに疑問として出されているのは、なぜ区は、現庁舎のこの土地があるのに、わざわざ借地で庁舎を建てなければいけないのか。このことが本当に理解できないという疑問であります。現庁舎はそのままで、新庁舎ができればすぐ移転できる。仮庁舎の確保が困難だからと、こう説明をしていますが、この理由ではなかなか理解ができないようであります。新庁舎建設が合築という話から始まっているので、区は十分な検討は多分していないのではないか。旧竹平住宅跡地以外は検討しているんだろうかとか、区民からは様々な声が私どもに寄せられております。さらに新庁舎建設は、いずれにしても大きな財源が必要です。その財源確保について、区有財産の有効活用というが、結局は区有地を売ることではないのかと。そして、借地権を取得するわけですから、自らの土地を売って、その財源で土地を借りるということは、やはり区民の皆さんには理解しろと言っても何でそういうことになるのかという疑問はなかなか解けないようであります。何をやっているのかと私も区民から怒られる私が怒られてもしようがないわけですが、区民の共有財産の処分についても、区民の十分な理解と了解が必要であります。本庁舎建設や本庁舎移転問題は、私はこういう大事業は、住民投票をやって決めてもいいようなものだというふうにも思っていますし、そういうことはできないのかという区民からの質問もあります。借地問題については、現段階では国との交渉がどこまで行われているのでしょうか。協議中ということを聞いておりますが、改めて明らかにしておいてほしいと思います。
そもそも借地というのは、借地期間は、幾ら区民の税金を投入しても、区民の共有財産にならないことを意味するわけですから、この借地問題は、区民の納得のいくものにならないと区議会もこれは認められなくなるのではないでしょうか。また、なぜ借地でもよいかという点も含めて、区長のご意見を伺っておきたいと思います。
第4の質問は財源問題ですが、区有財産を処分するから、福祉や教育などの一般財源にもこれは影響させないと繰り返し繰り返し強調されておりますが、私は強調されればされるほど、区の財政の見方に実はずれを感じます。区有地を処分することは、区民の共有財産を処分することですから、何か別から財源を持ってくるといっても、区民の財産を処分するんですから、一般財源とこれが全く関係ないというふうに区別する理由がよくわかりません。このような考え方も、まだ十分な議論が必要なのではないでしょうか。その辺についてもお答え願いたいと思います。
特別委員会の審議の中では、現庁舎の土地は売却しないことを委員会の共通認識としたというふうに聞いております。助役の答弁は、そのときに、この現庁舎の有効活用について、売却しないとは委員会では明言しませんでした。先ほどの自民党の代表質問の答弁でも、非常に微妙な
発言をしています。現時点では、本庁舎の用地は売却を考えていないけれども、その後はまだ検討する余地があるかのように先ほど区長は述べられました。私は現庁舎用地は処分対象にすることをまず反対します。この際、はっきりと処分対象にしないと、売却しないということを明確にすべきでありますし、議会の意見はその方向であります。区民からも、現庁舎の土地を処分するのではないか、売るらしいですねと、こういう質問があるだけに、明確にしておいてほしいと思います。
以上、区長に答弁を求め、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔区長
石川雅己君登壇〕
12:
◯区長(
石川雅己君) 鈴木議員のご質問のうち、社会保障、医療制度改革、不況の深刻化等のご質問にお答えいたします。
長引く経済の低迷、社会の閉塞状況が国民に、また区民生活に大きな影響を与えていることは私も受け止めているところであります。今日ある不況及び閉塞状況は、まさに戦後日本の発展に寄与し、また推進力になってきました社会経済システムが一様に制度疲労を起こし新たな時代に対応できないことに起因しているものと考えております。現在、こうした観点から、諸制度について将来を見通して、安定的、継続的な仕組みを構築すべく見直しが行われていると認識をしております。見直しに当たりましては、当然のことですが、いろいろなご意見が出てまいりますが、国民的コンセンサスが得られることを期待をしているところであります。
次に、イラク問題についてのご質問ですが、平和的解決のためにあらゆる努力がなされることを願っております。
次に、区庁舎の建て替えについてお答えいたします。
旧竹平住宅の跡地については、区では、私が就任する以前から庁舎など、公共施設の建て替え用地として土地の取得を含め、活用についての検討、あるいは議会でもご議論があったというふうに記録しております。そして、そうした可能性を追求するべきであるというご議論もあったと思います。
私が区長に就任してから、そうした経過を踏まえ、区民利用施設や庁舎整備用地として活用について国に働きかけをしてまいりました。そして、昨年の第3回
定例会でもこうしたご質問に私は答えております。竹平住宅についての取り扱いについては、国の方針が決まっているので難しいというご返事をいただいておりますが、しかし、このまま手をこまねいていていかがなものかということから、再度国に対して、区として何らかの活用の道がないかということで交渉に臨みたいと。大変厳しい状況でありますが、引き続きやってまいりたいし、議会におきましても、こうした状況を十分ご理解いただき、これからの庁舎等のあり方について全般的にご議論を賜ればありがたいということを昨年の3定で私は申し上げております。したがって、鈴木議員が言うような突然の話ではないというふうに思っております。それから、その後の経過については、ご案内のとおり、特別委員会が設置され、ご審議をいただいているとおりでございます。
それから、現在の庁舎の用地については、現時点では具体的な検討は一切しておりません。今後、特別委員会での審議を重く受け止めていろいろな観点から考えてまいりたいということでございます。
その他の質問については、関係部長等からご答弁をいたさせます。
〔政策経営部長
島博文君登壇〕
13:
◯政策経営部長(
島博文君) 鈴木議員のご質問のうち、まず自治体の存在意義及び自主性・自律性についてお答え申し上げます。
この2年にわたり千代田区として様々な独自の取り組みを行ってまいりました。その結果といたしまして、現在、保育園における待機児童はゼロ状態でありますし、学童クラブは6年生まで受け入れ対象になっているほか、特別給付事業によって在宅介護と施設入所の格差は是正されるとともに、先ほどお話がありました国民健康保険料につきましては、23区で最も低い設定となっております。
また、民間委託によりまして、低コストでバラエティーに富んだ適温の学校給食が実現し、満足度の高い評価が寄せられておるところでございます。
今後とも区民のニーズを的確に掴み、真に必要な施策を適切な手段と方法を
選択して実施することによりまして、自主性・自律性を発揮するとともに、区民にとって存在意義のある自治体をめざしてまいりたいと考えております。
次に、平成15年度の予算の性格についての質問でございますが、千代田区には江戸時代から庶民の生活から生まれ、これまで400年間綿々と引き継がれてきた文化があります。先ほど区長も申し上げましたが、文化とは区民の皆様がつくるまちそのものであり、区民の皆様の生活そのものと考えております。このような観点から、江戸開府400年に当たります来年の1つの節目の予算といたしまして性格づけたものでございます。
次に、区の内部努力についてのご質問ですが、いかなる社会経済情勢の変化にありましても、区民の皆さんのニーズに応え、質の高い行政サービスを提供していくことが区の責務であります。特別区民税を除きまして、区税収入は、ご案内のとおり、軒並み減収となる状況の中で、総人件費の削減をはじめとする区の厳しい内部努力により、負担を区民の皆様に転嫁することなく、行政サービスの形で区民の皆様に還元したものと考えております。それにもたらされました行政サービスの水準につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。
次に、平成15年度の予算のポイントについての質問ですが、平成15年度の予算では、先ほど申し上げました保育園の待機児ゼロとか、学童保育の充実などに加えて、新たに健康あっぷパワーリハビリテーション、介護保険運営基金の千代田区独自の基金の創設、ディーゼル車の低公害化促進助成、学校活性化支援事業、区立中等教育学校開設準備、秋葉原東口広場整備など、新規事業74事業、レベルアップ事業50事業を事業化いたしました。国保につきましても、15年度も先ほど申し上げたとおりの状態が続いております。昨年度から取り組んでおります千代田市をめざす観点から、独自性、独創性ある施策を着実に推進するとともに、区民福祉の総合的向上を図っているところでございます。
〔政策担当部長
山崎芳明君登壇〕
14:
◯政策担当部長(
山崎芳明君) 鈴木議員のご質問のうち、区庁舎の建て替えに関しまして、区長答弁を補足してお答え申し上げます。
まず、国との協議状況でございますが、現在、庁舎・公共施設整備特別委員会におけるご論議を踏まえ、好機を逃すことなく、国と事業実施の方針や新しい庁舎に設ける機能などについての協議を行っているところでございます。
また、いわゆる三者協議では、現在借地について協議しており、先ほどの自民党の代表質問にお答えしたとおり、具体的な借地条件を今後国と協議をしていくことになりますが、現時点での国の説明によれは、将来に向けての権利は十分保全されるものと認識してございます。
〔まちづくり推進部長
渡辺滋君登壇〕
15:
◯まちづくり推進部長(
渡辺滋君) 鈴木議員のご質問のうち、リンケージ制度についてお答えします。
この制度は、住宅付置による隔地住宅の建設がなかなか進まない神田地区において、事業採算性の確保を前提としつつ、政策的にファミリー向け住宅を供給していくものであり、高額所得者のための住宅供給のみを想定したものではありません。
16: ◯25番(
鈴木栄一議員) 自席から再質問いたします。
先に、島部長のところで、400年の節目の予算だから言っているんだと。私は今度の政策経営部資料で、これからまた予算委員会がありますから、そこでいろいろ議論がまた出ると思うんですけれども、あの性格、特徴づけを、一般的にこういう性格でこういう特徴ですよというけれども、部長も目安として言っているように聞こえる感じがあるんですけれども、私は今、言うならば、この国の政治といいますか、この小泉内閣で、この不景気で、区長も言われているように、大変な事態というのは部長も同じ認識だと思うんです。そういう中で、本当に区民の利益、区民の暮らし、区内の業者の営業を守って、そういう困難、苦難を取り除くために、自治体としての存在意義があって、身近な政治としてそのことをやっていくという新年度のこの1年間で、そこで特徴づけるとすれば何ですかと。この4つは一般論的じゃないんですかと。それから、区民感情から違うんじゃないんですかということをるる申し上げたつもりなので、もう一度答弁しておいて下さい。そういう予算でありますよというふうに言われるのかどうなのか。それとも、私が言っている今の区民生活の実態、それはいいんだというふうなことは絶対あり得ないわけですから、それにはこの予算の特徴はこういうところですよと言える、全体のあの予算の特徴づけ、どうも保育園の待機児をゼロにしましたと、学童しか出ませんけれども、それはそれで前進面の1つとしてあっても、全体の困難な状況をどれだけ区民の実態を区が承知をしているかという証になるんだと思うんです。もう一度答弁をしておいていただきたい。
それから、今、まちづくり推進部長の答弁で、高額所得者の住宅になる、そういうふうになるものではありませんなんて、私はそんなこと聞いていないですよ。部長自身があの神田の地域をどう見ているかということも併せて答弁してほしいんですけれども、実際には、あの大・丸・有で事務所棟をつくって、しかし、できないから開発協力金をもらう。でも、今度は、あの特定の地域として飛ばしができるようになった。ですから、それを5年間のサイドでプールもしながら、そして住宅を誘致するんですけれども、それには、いわゆる今までの麹町地域に飛ばした部分を含めても、その住宅というのは、大企業から見れば採算が合わなければならないんです。そうしたら、現状として、高級億ションマンションにならざるを得ないという実態があるので、こういう住宅づくりでは、この神田の地域麹町がいいという意味じゃないですよ。神田の地域のまちづくりに貢献できることになるのか。それとも高級マンションの方に流れざるを得なくなってしまうのではないかと。ここに何か歯どめをきちっとしておくという点で、良質で低家賃住宅という条件を、それで神田のまちの心の触れ合う、「やあ、こんにちは」と言えるようなまち、こういうものを条件としてつくれるように、区としてその姿勢がないと、リンケージ制度で飛ばしだけで、今度は採算が合わないとペイできないという話になれば、今まで再開発計画でずっとやっているのは、みんなそういう住宅に結局はならざるを得ないからなっているわけです。ここに自治体が本当にまちづくりの問題を真剣に考えるならば、そこのところは開発協力金で協力するというあの精神からすれば、また住宅を付置させる点からいったら、もっと積極的に区の姿勢というのを明確にしておくというふうに思うんです。その辺ももう一度答弁をしておいてほしいと思います。
最後に区長の方ですが、昨年からいろいろ、何となく聞いていると、少しずつニュアンスが変わってきているような感じもするんですが、先ほど、議会側の受け止めは、今まで区長が水面下で私があえて水面下でと言うのは、助役が使ったから使うんですけれども、要するに水面下でということは、区議会の中に正式に提起していないという意味なんだと思うんです。それから、区民に正式に、前々からこういう取り組みをしていましたよというのを言っていないという意味なんだというふうに思うんです。何か水面下で悪いことをしているという意味ではないですからね。水面下というのは余りいい言葉では使われないことが多いんですけれども、私はそんな理解はしていません。ですから、第4回
定例会で出たのは、区長はまた、ある意味では言葉じりをとらえられましたけれども、突然の話ではないというけれども、正式には区民から見れば突然の提起なんです。それから、区長は今まで積極的にやっていたと言うけれども、あの第4回
定例会のときに、前の区長が、旧竹平住宅の跡地は要らないと言ってしまったんだと。それから行ったものだから、いきなり門前払いだと。何を言っているんですかというところから始まったんですよね。ですから、その時点も区の行政計画としては持っていないし持っていなかったんです。それは前々からいろいろありますよといっても。それから、やはりこういう事業は計画事業としてやるべきで、それができないとしたらば、そこでの判断というのはもう1つあるのではないかというふうに思っているんです。だからその辺は、私が突然の話と、そんなことを言ったみたいな話に受け取らないで、区民から見れば、まず情報提供が先でしょうということなんです。それで、いろいろ区長が積極的に国との交渉をしていたけれども、先ほどの答弁では11月、10月30日とも聞いておりますが、国との交渉がどういうふうになっているのか。それから同時に、私どもとしても、いろいろ財務省理財局国有財産調整課にも伺い、国土交通省営繕部営繕計画課にも実は伺ってきました。そうすると、ニュアンスが少し違うんですよね。それで、特別委員会というか、議会として聞いたわけではないですから、私どもは。しかし、議員として聞きに行きました。私どもが聞きに行ったのも、山崎部長、国が来たよという報告が当然あると思いますけれども、ですから、オープンで聞いてきたわけですけれども、その話と委員会で言われた話と、それから区長の答弁と私どもが国で聞くと、どうも何でこんなに急ぐんだろうという点、この疑問がなかなか解けなくなってしまったんです。というのは、財務省理財局国有財産調整課、確かに昨年区から合築でどうかという要望があったと。国有財産法では、地方自治体に貸し付けるのは、ただし書きがあって、検討することはやぶさかでないと答えておきましたと。ですから、今、財務省としては、区と合築を決定したという認識はまだ持っていませんとか、今、区の意思決定を待っているという言い方とか、PFIで検討しろという指示は自民党と内閣から財務省が受けていると。これは2月4日に行ったんですけれども、しかし、それを受けた予算要求はまだその段階で「PFI方式で予算要求はしているけれども、国としてはまだ決まってはいませんよ」と、こう言われました。「PFIでやるとすれば、正式決定するまでにはかなり時間がかかります」と、こうも言われました。また国土交通省の方に行って、「国の方から合致がどうだというふうに呼びかけられて、それで議会としても、今早急にその是非を含めて判断をするという状況になっているんだ」と言ったらば、「いや、国から呼びかけたと思っていない。国土交通省は、今区の態度を待っているというよりも、大体模様眺めですね」というようなお話でした。そして「区の態度がどうであろうとも、合同庁舎は、国としてはこれはもうどんどん計画を進めていきますから」という言い方でありました。私ども議会の方で、第4回
定例会で、何か共産党が反対をして、それで委員会に入らなくてと言って、ある自民党の一部の議員ですけれども、区議会報告で、まさにこれも事実ではない記述をしているものがまちに配られて、それでこういうことですかと私のところに聞きに来ました。ビラもあります。一部会派が事実ではないとか何とかと言うけれども、自民党の議員も事実ではないのをこうやってまいているんですけれども、それはともかくとして、国との交渉を、国と合築で、最初は1月末だと言われていて、ですから、議会としては相手のあることだと、先ほど私がやっているときにやじもありましたけれども、相手のあることだと。ところが、国の方は十分まだPFIを含めて時間があると。そういうのが最初にわかったら、議会としての対応も違ったのではないかなというふうに思っているんです。それで、なぜあのときにあんなに急がなければならなかったのかということを含めて、それが私の誤解だよ、こうだよと言うならば、ここは本会議場の場ですから、はっきりと国との関係も含めて、これが区としての正確な話だと、姿勢だということを示してほしい。そうでないと、議会は国から打診があったと言うけれども、国の方では、いや、そんなことを呼びかけていないですよというと、これまた本当に首をかしげてしまうんですよ。だから、それこそ正確な事実を明確にしておいてほしいというふうに思います。
最後に区長の、先ほどの自民党の代表質問の答弁も、私の質問の答弁も同じなんですけれども、現時点では考えていないと。現時点というのはどういう意味なのか。今、区の庁舎を売却しますなんていうことはあり得ないんですよ。現時点で考えていないというのは当然です。考えられたら困りますよ。それから、特別委員会の審議を重く受け止めるというんですね。だけど私はそのとき特別委員会を傍聴していましたけれども、石渡委員長のもとで、この庁舎の用地は売却しないと、共通認識にすると、繰り返していました。それで助役にもわざわざ答弁を委員会として求めている。そして、議会側の共通認識は議会の共通認識として受け止めますという意味の答弁をされていますよね。やはりここは移転をしてしまって、区民から「あそこはいいところで、あそこを売ってしまうんですか」と。「いや、どうもはっきりしないんですよ」と。ですから、やはりこの庁舎問題を含めて、ここは売却しない。そのことははっきりして財源問題を考えた方がいいのではないかと。提案した方がいいのではないかというふうに思いますので、ぜひ明確な答弁を求めて、再質問を終わります。
〔区長
石川雅己君登壇〕
17:
◯区長(
石川雅己君) 鈴木議員の再質問にお答えいたします。
庁舎を含めた公共施設につきましては、昨年の第3回
定例会でもご質問にお答えしたわけでございます。この区議会も公式の場であります。そこは鈴木議員もおわかりだろうと思います。その中で、非常に厳しい状況ですけれども、可能性を粘り強く追求をしていきたいということを私は申し上げたわけでございます。
したがって、4定に具体の話が出ましたのは、鈴木議員もご案内のとおり、国もテーブルに着くということが初めてわかったので、4定で申し上げたわけでございます。経過等については助役が補足すると思います。
いずれにいたしましても、この庁舎問題というのは、もちろん福祉の施設ですとか、男女共同参画の施設、あるいは防災センター等、そうしたことも併せてご議論を賜りたい。そのくらいの重要な課題だというから、議会も特別にこのことについて審議をしようということで特別委員会が設置されたんだと私は認識しております。したがいまして、現庁舎についても、庁舎の移転、あるいはそうした福祉施設等を今議論しておりますから、そうしたことのご判断の中で、現庁舎の用地についてのありようも、併せて特別委員会でご議論が出てくるというふうに認識をしておりますので、特別委員会での議論、ご判断を尊重していきたいというふうに申し上げたわけでございます。
それから、この予算の性格づけですが、私は招集あいさつでも申し上げておりますように、福祉等々につきましては、大幅に事業費を増額しております。この厳しい経済環境の中で増額しております。施設を除いても増額になっております。鈴木議員ご案内のとおり、大都市で保育に関しまして待機がゼロというのはどこにありますか。それ一つをとっても、いかに子育てに関しまして千代田区はこの何年かで重点的にやってきております。学童クラブ一つとってみても、大都市では大変待機者が多い。ほぼ千代田区ではこの2、3年で解消しております。今回の予算の中でも、ファミリーサポート事業、あるいは年末保育等々、やはり真に子育て家庭に必要な部分については、かなり私はほかの区市町村、大都市と比べても十分千代田区はトップレベルに来ているというふうに思っております。鈴木議員のおっしゃる現金給付という、そういう考え方で福祉は考えるべきではないと思います。あるいは、介護のお年寄りの施策についても、ご案内のとおり、昨年、施設と在宅介護との格差がありますので、在宅サービスについては大幅に介護保険外で独自の事業を加算したわけです。どこにこうしたことをやっている自治体がありますか。あるいは、今回のように、介護保険の改定で、今、社会保障だとか福祉に関しまして、国民的に将来の見通しが立たないというご議論がある中で、介護保険の改定について15年ぐらいの先を見て、保険料ができるだけ増額しないように、一般施策として5億円の基金を設定しております。こうした取り組みはどこにあるんだと思いますか。私は全国の自治体を見てもどこにもないと。このように、老人に対してもかなり踏み込んで事業をやってきていると思います。あるいは、障害の施設については、確かに施設の部分ではやや遅れております。しかし、今回の支援費制度という中で、区単独についてはかなり柔軟に障害者のサービスメニューを選べるように、かなり踏み込んだ施策をやってきていると思います。
いろいろ申し上げることはありますけれども、敬老金でいろいろとおっしゃっているようですが、言うならば節目で贈呈するそうした施策以上に、お年寄りや子育て、あるいは障害をお持ちの方に対して大幅に、2年、あるいは3年、施策として事業化をしているわけでございまして、ぜひほかの自治体でそうしたことをやっているかどうかを具体的に申し上げていただきたいと思います。あるいは、国民健康保険について見ましても、昨年度は据え置きましたけれども、今回についても23区とは異なる、どちらかといいますと、中堅所得階層に対しましては緩和策を講じているんです。むしろそうした福祉、あるいは教育についてるる申し上げるつもりはないんですけれども、トータルで見ていただきたい。ある部分でご議論をするのはいかがかということだけを申し上げておきたいと思います。
〔助役
大山恭司君登壇〕
18:
◯助役(
大山恭司君) 庁舎問題につきまして、区長答弁に補足してお答え申し上げます。
具体的に財務省並びに国土交通省との交渉窓口になってやってまいりましたので、その辺のところの経過をご説明申し上げます。
これまでの議会並びに執行機関におきます竹平寮跡地に関する庁舎問題についての議論の経過等につきましては、先ほど来、区長並びに担当部長からお答えしたとおりでございます。かねてからこういう話はあったということでございます。その上に立って、これは区民にとっては今回の発表が非常に唐突だったというご指摘はそのとおりだと思います。そういうことも踏まえて、それがなぜ唐突にならざるを得なかったのかということにつきましては、昨年11月の
定例会終了後、区長と私で各地域を回りましたふらっと区長室の冒頭でお時間をいただいて経過をご説明申し上げました。それから、それ以降、2月からはその他の諸会議におきましてリーフレットをつくってご説明をさせていただいておるところでございます。その辺の理由のところは、確かに国の第三合同庁舎の建設問題が、既に一昨年8月末に、小泉総理の都市再生緊急整備事業の一事業として位置付けられまして、PFI事業による開発が発表されたと。そういう経過の中で、ほぼ区役所の庁舎の用地として、あるいは公共施設の用地として、区が取得するということにつきましては、そこで一般的には断念せざるを得ないという状況に至ったわけでございます。しかしながら、そのPFI事業の国の計画内容、これを情報収集いたしましたところ、どうも国の方で使う面積は一部であると。残った部分について民間の施設に貸し付けるというふうなPFI事業のスキームになっているようだということが明らかになりましたので、それでは区の庁舎の必要面積が確保できる余剰部分があるとすれば、再度交渉の余地があるのではないかということで、その発表以後、財務省並びに国土交通省の方に区長と私で参りまして、いろいろ協議をさせていただいたところでございます。したがいまして、今、鈴木議員のおっしゃる、国から呼びかけた覚えはないというふうなお話でございましたが、国としては、一昨年の8月31日にPFI事業として第三庁舎を建設すると。余剰部分については民間に貸し付けると、そういうスキームで一応の決定をいたしましたから、国から千代田区に呼びかけて一緒にやろうよという形での話がなかったといえばなかったということです。それは正確な話だろうと思います。しかしながら、区の状況をつぶさにお話をいたしまして、それが国の考えている民間施設が区の庁舎に変わるというふうな形になるとすれば、国としても考える余地はあるのではないかということで、昨年の11月5日に国土交通省と財務省と千代田区の三者における共通の検討の土俵をつくろうじゃないかと、そういうお話が国土交通省の方から正式にありました。そこで直ちに、私は区議会の幹事長会等にも出席をさせていただきまして、いろいろ経過をご説明をし、そしてこれは執行機関だけで決められないので、できるだけ議会におきましても速やかに検討の場をつくってご協議をいただきたいと、そういうことを二度にわたってお願いをしたところでございます。その結果、11月の第4回区議会
定例会におきまして特別委員会の設置という運びになったわけでございます。したがって、そういう経過がございますので、国として積極的に区に一緒にやろうというふうな形での呼びかけがなかったということにつきましては、それはそれで正確な国の方の話ではないかというふうに思っております。
それから、PFIについて、国が決定していないとか、区がまだ決定していないとかというお話があったようでございますけれども、千代田区との合築でPFI事業によりやるということにつきましては、私どもも昨年の特別委員会設置を受けていろいろ協議していただいておりますので、その結果が出ないと、区としての庁舎建設についての意思決定、団体として意思決定はできないと。そういうことで、今精力的に議会との協議を重ねているところだということを再三にわたって国の方に伝えてございます。だから、そういう意味で、区と国との共同で実施するということについての最終的な決定はまだなされていないというのも、それも国のお話としては正確な話だろうと。したがって、国の方としては、千代田区としての意思決定を早くしてくれということになっているということでございます。
それから、国の方のPFI事業がまだ決まっていないという言い方は、実は現在国会に提案されている平成15年度の予算の中に債務負担行為としてPFI事業で開発するということについては、既に国の予算には盛り込まれております。これからの手続からいけば、具体的な実施方針ですね、これをできるだけ速やかにまとめて公表をして、そして参加事業者等のヒアリングだとか、質問だとかそういうことを受けて、一定の数カ月の手続期間を経て、最終的にPFI事業としての事業認定を行う手続があります。そこで正式にPFIでやるのが妥当なのかどうかということが決定されますので、現時点でPFIでやるということについて、財務省が正式には決定していないということにつきましても、それはある面では正確な言い方だろうというふうに思います。しかし、予算としては、国でそういう形で盛り込まれているということでございますので、それでまた具体的にこのPFI事業を推進する国土交通省の関東地方整備局の営繕部は、このPFIを前提にした諸手続が行われているということでございますので、そこのところは多分この方向でいくのは間違いないことだろうというふうに思います。
なお、この区の現庁舎の用地問題につきましては、先ほど区長がご答弁申し上げたとおり、特別委員会の審議を十分尊重しながら、今後具体的に議会並びに区民の皆さんと十分な協議をしていくことが必要であろうということでございます。
〔まちづくり推進部長
渡辺滋君登壇〕
19:
◯まちづくり推進部長(
渡辺滋君) 鈴木議員の再質問にお答えいたします。
このリンケージでは、ケースによっては神田地区の地権者との共同事業もあるわけですけれども、そうした場合も含めまして、すべて事業採算性の確保を前提としながら行っていくわけですから、一方的に価格までも条件づけて我々が指導していくということは、必ずしも適切ではないと考えております。しかしながら、基本的には人々は自分の意思で自分の住まいを選ぶわけですから、神田の特性を無視した住宅建設ができるということではありません。私の考えということを聞かれましたので、率直に述べれば、私は神田の歴史や下町的よさを非常に魅力と思いまして惚れております。ですから、その魅力を愛する人々に来てもらいたいと思っているわけです。そこで、コーポラティブの支援やそういうことをコーディネートする人たちへの支援も新たに仕組みとして入れていこうということで考えております。そういう誘導を行っていきたいと。それが私の考えでございます。
20:
◯議長(満
処昭一議員) 議事の都合により暫時休憩いたします。
午後3時59分 休憩
午後4時16分 開議
21:
◯議長(満
処昭一議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。
代表質問を続けます。
次に、公明党議員団を代表して、13番山田なが
ひで議員。
〔山田なが
ひで議員登壇〕
22: ◯13番(山田なが
ひで議員) 平成15年第1回千代田区議会
定例会区長招集挨拶にありました「地域の力を再生するまちづくり」について質問させていただきます。
区はこれまで地区計画制度の活用による居住環境の改善など、住み続けられるまちづくりの条件を整備し、一定の成果を上げてきていると感じております。さらに、来年度の新規事業として、地域の開発エネルギーを他の地域、主に神田地域を想定していると思いますが、政策的に波及誘導するリンケージ制度の導入や、区民の個別具体の事情に応じた建て替え構想計画を作成し、提供する建て替え検討プラン提供事業などを提案をしており、一定の定住化の促進が期待されます。
しかし、一方で、千代田区で住み続けることは容易なことではありません。加齢に伴って起こる様々な問題や社会経済情勢の変化に加え、個々の家庭の事情も影響し、抱える問題はそれぞれ複雑であります。また、これらは誰にも近い将来起こり得る課題でもあります。区内では老朽化した空室の目立つ事務所ビルや高齢者がひとり住まいとなり、商売をやめてしまった空き店舗などが多くあります。こうした方々の多くは具体的な解決策を見出せず、また安心して相談できるところがないため、将来への不安を抱える日々を送っております。区では、そういう方々に対する支援策として始めた建て替え相談会も、回を重ねて今回で16回目の開催とお聞きしますが、これからは区民の要請に応じ、直接訪問による相談も考えていただきたいと思います。
さて、区長が述べられた千代田の魅力、庶民がつくり支えてきた文化を継承し、さらに新しい千代田を創造していくためには、千代田にはない異なる文化や多様な人々も受け入れていくことが必要であると思います。その意味からも、千代田区に関する各種情報を区外にもどんどん発信し交流すべきだと思います。例えば、建て替え検討プラン提供事業やリンケージ制度をはじめ、コーポラティブ住宅や各種助成制度など、千代田区ならではの住宅施策に加え、特色ある祭りやイベント等を様々な情報媒体を活用し、新たな人々を呼び込めるような情報発信を行ってはどうかと思いますが、いかがでしょうか。今、神田地域では新しいまちづくりの試みが始まっています。東松下町に始まったコミュニティ形成・誘導型のコーポラティブハウスの建設や、岩本町一丁目町会員主体の協議会によるマンション建設事業者と地元地域との意見交換や事前調整の取り組みであります。こうした取り組みによって培われた経験やノウハウを同様の問題で悩む他の地域でも活かしていけないでしょうか。また地域で起こる建築紛争を相隣問題として狭くとらえるのではなく、地域でうまく共生していく方策を行政、地域、事業者の連携のもとで取り組める仕組みが必要と考えます。例えば、先ほどの岩本町のように、集合住宅の建設計画段階から完成までの間、事業者、入居者と町会との相互調整を行う協議体やそうした人材を育成する支援策が考えられます。さらに、こうした取り組みの経験やノウハウを他の地域でも活用できる仕組みがあれば、さらに有効であると考えます。
このような取り組みが地域の活性化やコミュニティの醸成につながり、ひいては千代田全体の魅力を創造する「まちづくりの環」ができ上がるものと思います。
先日、区長は、神保町再開発の入居者説明会で千代田区の魅力などをPRし、新たな区民との交流に努められたと言われました。そこで、今後さらに千代田区に転入してくる人々が地域の一員としての認識を持っていただき、地域の行事や活動に積極的に参加できるよう、町会との連携や入居者への働きかけ、さらには事業者の協力などによる総合的な地域の力を再生する仕組みをつくるべきだと思いますが、区長の考えをお伺いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔区長
石川雅己君登壇〕
23:
◯区長(
石川雅己君) 山田議員よりご質問いただきました地域の力を再生するまちづくりについてお答えいたします。
招集挨拶でも申し上げましたが、千代田区には、集約しますと7つの機能、すなわち様々な機能が集積をして、そのすべてが日本を象徴する、そうしたものであろうと思っております。こうした魅力を支えてきたのが、千代田区に住み、働き集う人々が営々と築いてきた地域の力がこうした代表的な機能をつくってきたんだろうと思っております。